第2回 木下 博勝さん 医学博士
「世界遺産を知っていると世界中に友達ができるんです」
―― 世界遺産検定通学講座に参加いただき、検定にもお申し込みいただいたとのことですが。
それが今回は、仕事の都合で検定を受けられなかったんですよ。ちゃんと勉強していて自信もあったのに、本当に残念で…。
テレビでも宣言していたんです。スーパーモーニング(テレビ朝日系)に出演した時に、たまたま世界遺産の白川郷の話題が出まして、世界遺産の勉強をしていたものですから、危機遺産のことなどペラペラと話したら、「どうしてそんなに詳しいんですか?」という話になりましてね。その流れで「今年は世界遺産検定を受検します」と宣言していたんですよ。次回は絶対受けますよ!
世界遺産検定については、第1回の時から注目していました。というのも、高校時代、日本史しか習っていなかったので、世界史を一度、きちんと学びたいと思っていたんです。それで、自分なりに世界史の勉強をしていたのですが、時代や地域がなかなか頭の中で繋がらない。その点、世界遺産検定では世界遺産を中心に、その背景となる歴史や文化を広く勉強することができます。これだ、と思いましたね。
不思議なことに医者の世界では世界遺産に造詣が深い人が多いんです。世界遺産を知らないと話題についていけない。学会などで海外に行くことも多いのですが、学会後のレセプションなどでは必ずと言っていいほど世界遺産の話題になります。先日もイギリスの学会に出たのですが、「日本と韓国ではどちらが世界遺産の数が多いんだ?」「日本のおすすめの世界遺産はなんだ?」といった話題になりました。旅行好きな人も多く、すぐに「ここも行った、あそこも行った」という話になるんです。そんな中で、一般には知られていない世界遺産のウンチクなどを語ると、とても受ける。世界遺産を知っていると世界中に友達ができるんです。ワインと世界遺産は、世界の共通言語だと思います。
―― 木下さんは、ニュース時事能力検定、eco検定(環境社会検定試験)、総合旅行業務取扱管理者試験といろんな資格にチャレンジして、すべて合格されているとか。学芸員も受検されて結果待ちだそうですが、なんのためにこんなに勉強なさっているんですか?
医者という仕事には全く関係ない勉強ばかりですが、自分の興味のある分野について学ぶことは、知的好奇心をかき立ててくれますし、人生の豊かさにつながります。竹中平蔵さんが書いた本にもありましたが、直接仕事に結びつく勉強も大事ですが、自分の教養を高める勉強というのも大事だと思うんですよね。
世界遺産を学ぶことが面白いのは、世界の歴史や文化のつながりが見えてくるところです。私みたいに、高校時代、日本史を取っていて、世界史のことをよく知らない、という人は多いんじゃないかと思うんです。そんな人に、世界遺産検定は本当にお勧めですね。世界史についての断片的な知識が、世界遺産を通してばーっとつながっていきます。いや、日本史しか知らない私でも、これだけ面白いんだから、世界史を学んだことのある人にはもっともっと面白いはずですよ。
私の勉強法は、まず、テキストの目次を丸暗記するところから始まります。ちょうど、パソコンのフォルダを頭の中につくるようなイメージですね。目次を暗記したら、通して読んでいきながら、頭の中の目次に結びつけて覚えていくんです。こうすると、いつでも覚えた知識をとりだせます。目次を暗記するのは大変ですが、暗記した後はとても楽になるので、ぜひやってみてください。
検定受検に向けて、全7回の世界遺産検定通学講座にも参加しました。仕事の都合で全部は受けられなかったんですが、非常に面白くてためになる講座でしたね。世界遺産について熱く語る講師の方が素晴らしかった。知識も豊富ですし教え方も上手でしたし。あの講座は毎年受けてもいい、と思いましたね。
でも、世界遺産検定の勉強をしていることは、妻(ジャガー横田さん)にはナイショなんです。私が勉強していると「家族と勉強、どちらが大事なの?」と怒られるので…。検定講座の時は「仕事で遅くなる」と言い訳していました。だから、家では勉強できません。勉強できるのは、家族が寝ている朝5時半~6時半の間と、職場への通勤時間だけ。逆境でも、やる気があればできるもんです(笑)。
「息子と一緒にいろいろな世界遺産を訪れたいです」
―― 実際に世界遺産を訪れたりは?
有名な観光地はだいたい世界遺産ですから、知らず知らずにいろんな世界遺産に行っていますよね。妻も海外旅行が好きなのですが、観光というよりも、ホテルでゆっくりして、あとは買い物…というタイプ。私が入念に観光コースを組みたてても、「ホテルで待ってるから、行ってきて」と言われちゃうんです。それでも今年は北京オリンピックに家族で行った時に、万里の長城に行きました。私はここぞとばかり、時代背景だとか長さだとか、あれこれ解説しましたよ。「なんか良く知ってるんだな」とか言われましたが、妻はちゃんと聞いていてくれたのかどうか…。
息子が大きくなったら、一緒にいろいろな世界遺産を訪れたいですね。今、一番行ってみたいのは、バチカン市国とローマ。やはりヨーロッパにはいろいろな歴史が積み重なっていますから興味が尽きません。確か世界遺産が一番多いのはイタリア、2位がスペインでしたよね。
来年はぜひ検定を受け、マイスターまで目指しますよ!世界遺産は専門家が少ないと聞きましたから、将来は私が専門家になれたらいいな。世界遺産検定に望むことですか?世界遺産は学んでも学んでも終わりの無い奥深いもの。この検定に合格することがゴールではなく、その後もずっと勉強しつづけられるようなものになっていくといいと思います。
プロフィール
木下 博勝(きのした ひろかつ)さん