第14回 チャド・マレーンさん 漫才師
「オマエ、”世界”だろ!」先輩芸人の一言で、検定挑戦! 「勉強のはずが、ムッチャたのしかった!」
―― 第10回世界遺産検定(2011年7月実施)にて、3級に合格されたチャドさん。検定を知ったきっかけは?勉強方法は?
検定の1ヶ月前くらいやったかなぁ、先輩芸人のカラテカ・入江さんの家に行った時、世界遺産検定のリーフレットがあったんです。何気に見ていると、入江さんが、「オマエ、"世界"だろ。これ受け!」と、意味わかるような、わからんようなことを(笑)。でも、「ハイッ」って答えたんです。で、検定1週間前くらいから公式テキストを買って勉強を始めました。でも、世界遺産の名前とかの漢字はいいんやけど、カタカナが全然アタマに入ってこない。英語のほうがエエかなと思って、インターネットで英語表記を調べてみたら、面白そうな関連ページがあったから見て、そこからまた関連ページを見て・・・・・とかやっているうちに、勉強がムッチャ楽しなってきた。芸人やからということもあるけど、芸能などを指定する「無形遺産」を調べるのも楽しかった!
それに僕、オーストラリア人やから、学校とかで日本の歴史の勉強をしてないんですよ。日本の世界遺産のことを勉強しながら、日本の歴史のことも知れた。それも楽しかった!もっと早くから勉強しといたらよかったとメッチャ後悔しました。
―― 3級に合格しての感想は?
実は2級も併願で受けたけど、惜しいところで落ちて悔しかった!受検と同じくらいの時期に「ニンガル・コースト」(オーストラリア)が新たに世界遺産に登録されたんです。ここ僕の地元ね。故郷のパースから1000キロ以上離れてるんやけど、でっかいオーストラリアの南西というのは同じで、僕らにとっては地元。何かちょっと運命的なものを感じました。
それと勉強しながら「もったいないことしたなぁ」とすごい思ったんです。今まで仕事などで行ったことのある世界遺産はあるけど、知識がなかったから損していたなぁ。たとえば仕事でプラハ(チェコ「プラハの歴史地区」として登録)にも行ってるんやけど、知識があったら建築ひとつでももっといっぱい楽しめたやろなぁとか、世界遺産の「ブルノのツゲンドハット邸」のあるブルノ市に泊まっていたのに、世界遺産があることを知らへんかったから行かんかった。メッチャ残念!知識があれば行きたいところも広がるし、同じところに行っても絶対面白さが違う!
僕の地元にある「シャーク湾」には酸素形成の起源とされる、世界最古の生物で「ストロマトライト」というのが数十億年前から生存しているんだけど、おじいちゃんが行っていて、家族がその写真を送ってくれたことがあるんです。その時は何も知らんかったから「なんじゃ、コレ」と思った(笑)。知識が少しある今、家族と旅行したら、楽しいやろなぁと思います。
日本の魅力をもっと知るためにも、世界のことをもっと知りたい!目指すはマイスター!
―― オーストラリアで生まれて日本で暮らしているチャドさんだからこそ感じる、世界遺産を学ぶ魅力は?
日本に来てここで暮らすようになってもう13年。長い間住んでいるだけで、世界のこともよく知らんくせに、ほんまに自分が胸を張って「日本が好き」って言えるんやろか、と思いはじめて……世界のことを知ってこそ「これが日本の魅力、だから日本が好き」と言えると思う。日本人にとっても、世界を知ってこそ故郷の素晴らしさがわかるはず。そのためにも世界遺産の勉強は役立つと思います。
―― 今後、世界遺産検定への挑戦は?検定合格をお仕事に活かしていきたいと思われますか?
実は挑戦するとき、やるからにはマイスターまで行かなアカンと思ったんです。だから3級に合格したものの、ちょっと恥ずかしいから仲間の芸人はじめ周囲の人に話してへんのですわ(笑)。道は遠そうやけど、勉強は続けてマイスターを目指したい。そこまで行けたら、初めて世界遺産をネタにしたりもできると思う。世界遺産って勉強すればするほど「地球と人類のかえがえのない財産」だということを実感するし、本当に奥が深い。中途半端な知識でチャカすようなことをするのはアカンような気がする。知識をいっぱい得て、世界遺産の前でそれの魅力を芸人の自分なりの方法で伝えられたら最高ですね。