第15回 山田 わたるさん 音楽家
インターネットで検定を知り、 「力だめし」にチャレンジしました
―― 山田さんはミュージシャンとして日々忙しく活動されています。その中でどのように世界遺産と出会い、検定に挑戦しようと思ったのですか?
学生のころから世界史が好きで、20代ではギリシャ、イタリア、スペイン、フランスなどを旅して結構世界遺産を見ているんですよ。日本でも仕事でツアーがあると、若い時分は寸暇を惜しんでその土地の名所や旧跡を訪れていました。今度コンサートの仕事で韓国を訪ねますが「済州火山島と溶岩洞窟群」に行こうと思っています。
また趣味は読書で、休みの日は図書館へ行くという生活を20年以上続けています。ノンフィクションが好きで、一昨年に講談社の『世界遺産(全7巻)』を見て面白いなと思った矢先、世界遺産検定のことを知ったんです。試しにホームページの例題を解いてみたら「いけるかな?」という手応えを感じました。元来チャレンジャーなので、「どれだけ通用するか力だめし」という軽い気持ちで3級を受検しました。
―― 3級、2級と順調に合格しました。どんな受検勉強をされたのですか?
勉強は主に「読む」です。まず『ハンザ同盟』『五賢帝』など“お題目”を決める。それをiPadで調べていくんです。当然知らない言葉が出てきますから、それをまた調べていく。それを繰り返すと「○○ウヌスと○○ウヌスは親子だったのか」と、どんどん横にそれていくんですけど、点と点だった事柄が線になってつながりはじめて頭に入ってくるんです。2級を受検するときには『世界遺産検定公式ガイド300』を熟読しました。線を引くとか書くとかは一切せず、その時も読むことに徹底しましたね。『Web講座』も毎日のように見ていました。
テーマを定め、iPadで調べまくったら、点と点が線になってつながってきました
―― 第16回検定で1級に認定されました。受検の感想はいかがでしたか?
1級は3回挑戦しています。1回目2回目とも1点足りず、周囲からは「限りなく1級に近い男」と揶揄されました。3回目の挑戦のきっかけは富岡製糸場の世界遺産登録。一念発起してもう一度挑戦してみることにしたんです。2回目から2年も経過していましたし、試験まで1ヶ月程度しかありませんでしたが、僅かに残っていた知識をフル回転させ、しっかりノートを取りました。その結果153点で合格することができました。日々音楽漬けの僕にとって書くことは新鮮でしたし、目標が達成できて満足しています。
―― 世界遺産を勉強してどんなことを感じましたか?
環境問題や地域の紛争、宗教問題などこれまで以上に関心を持ったし、すべて地球レベルで考えなければいけないと思いました。また日常のひょっとしたことにも歴史を感じたり、映画を見ていても背景が深く理解できたり、物の見方もすごく変わりましたね。
遺跡の存在を認知すること、消滅させないことは人類にとって大切な課題です。現在を基点にして「過去の遺産」を右軸に、「未来の発展」を左軸に伸ばしていくとすると、右と左は同じだけ伸びるのだと思う。つまり、科学が発展するほど過去の詳細が解明できるということ。過去と未来を両方大切にする、このバランスが大切なんだと、そんなことを感じています
世界遺産を勉強して物の見方が変わったし、仕事にもプラスの影響がありました
―― 世界遺産の勉強が音楽活動に影響しているということはありますか?
それはありますね。僕はソロ活動もしていますが、アルバムにはそれが反映していると思います。曲作りに当たって、世界遺産を学んで「今ある僕」が感じていること考えていることを作詞家に伝えていますし、自分で言葉を選んだりもしています。
最後に受検者のみなさん、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
世界遺産は理屈抜きでとても美しいですよね。秋の厳島神社、夕日のモン・サン・ミッシェル、雪に覆われたロシアの大地などテレビやDVDで見ても本当に美しい。実際に行けなくてもこれだけ“美しい”を堪能できるのだから、大いに見て楽しんではどうでしょう? 僕自身は世界遺産の勉強をしながら様々な事を知り、色々な興味を掘り起こすことができた事が良かった。「ローマ帝国」と「チンギスハン」は有り得ないほどの強さ、広大さから“2大ビックリ”と言っているのですが、この2つはこれからも深く掘り下げていきたいと思っています。
(2014年8月)
プロフィール
山田 わたる(やまだ わたる)さん