第23回 城戸 康裕さん K-1ファイター
子どもの頃の家族旅行のワクワク感が今も続いている
―― 2016年6月に「K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN」の出場を控えている城戸康裕さん。SNSには旅先の写真がたくさんアップされています。
子どもの頃の家族旅行ってワクワクしたじゃないですか。僕の場合、大人になった今もそのワクワクが継続している感じです。格闘家は忙しいと思われがちですが、試合と試合の間など時間があるんですよ。ここ7、8年はよく海外に足を運んでいます。
今度練習のためにタイに行きますが、その前にマレーシア、シンガポールに立ち寄ります。2015年に世界遺産登録された「シンガポール植物園」も訪ねる予定です。6月の試合が終わったらヨーロッパ各地にいる友人を訪ねながら、気ままにヨーロッパを巡ります。帰りのチケットは手配せずに行く、男4人の旅(笑)。楽しみです。
検定を持っていると世界遺産の話になったときも「ドヤれる」
―― 世界遺産検定を受検している姿はあまり想像つかないのですが、城戸さんは2015年7月に3級に挑戦し合格されています。挑戦のきっかけは?
僕はギャップがあるとは思っていないんですけど、確かに受検会場に行き、試験を受けている姿はみなさんイメージがつかないようです(笑)。 何か資格を取りたいと思っていた時、世界遺産検定のことを知り「これだ!」と思いました。もともと好きでしたし、いくつか訪れていたこともあったから。昔から世界遺産という言葉、グッとくるんです。僕に限らずその4文字に惹かれる人は多いんじゃないかな。
旅行中に感じるのは、知識はないよりもあったほうが絶対に面白くなるということ。世界遺産の知識があったらもっと面白くなるでしょうし、検定を持っていると世界遺産の話になったときにもドヤれますからね(笑)。
下積み時代、パチンコ屋でアルバイトをしていたのですが、店が暇なときにポスカですべての国の国旗を描いていたんですよ。複雑なものは1か国に2時間くらいかかりましたね。そのときに世界の国名と国旗をすべて覚えたんです。たとえば海外で、トルクメニスタン人に会ったら「緑色で、左にすごく難しい模様が付いている国旗の国だよね」なんて話のきっかけを作ることもできる。ただ、僕が世界遺産検定を受けた時は国旗の問題は出題されませんでしたね(笑)。
―― 受検対策は大変でしたか。どのように勉強したのでしょう?
テキストを読みましたが、苦ではなかったです。知識を詰め込むのも好きなので「こんなところがあるんだ」とむしろ楽しかったです。実は3級と一緒に2級も同時に受検したんです。言い訳なんですけど、試験の前日にスポンサーの方の誕生日会に出席して、試験中少し意識が遠のいてしまって(笑)。あと受検をしてわかったのですが、過去問はやっておいたほうがいいですね。前回はどういう角度から攻めてくるのかわからず、十分な対策ができていませんでした。早くリベンジしたいです!
知識の大切さは格闘技にも通じること
―― 世界遺産の魅力や読者へのメッセージをお願いします。
世界遺産については「“ど”ミーハー」でいたい!「ラパ・ニュイ」とか「メンフィスのピラミッド」とか誰もが知っている世界遺産に行きたいですね。富士山も世界遺産に登録された年に登りました。最近はテレビやインターネットで、海外の映像や写真を見ることができますが、見た瞬間にぶわ~っと来る、あのしびれる感覚は実際に行ってみないと体験できません。
また繰り返しになりますが、知識はあったほうが絶対にいい!インドの「ファテープル・シークリー」を訪れた時は、お妃が襲われるのではないかと不安に思った王様がおかま*の護衞をつけたというガイドの話が興味深かったし、カンボジアの「アンコール・ワット」では江戸時代の頃の落書きを見つけることができてテンションが上がりました。
知識の大切さは格闘技にも通じることです。若い頃はがむしゃらに練習していたのですが、ある時有効な1発を決めた方が効果的だということに気付いたんです。そこからどういう間(ま)で打てばいいかを考えるようになって、成果も出るようになりました。
大学卒業後くらいからなんでも知っていることがかっこいいと思うようになり、さまざまなことに興味が広がっていきました。知識と経験は人生を豊かにしてくれます。世界のことを知れば知るほど行きたくなるし、知識が増えるとやりたいことの選択肢も感動も広がっていきます。年々、海外旅行はしやすくなっていますから学生の方などは若いうちにぜひ知識をつけて、いろいろなところに足を運んで欲しいですね。僕自身もまだまだ訪れたいところがたくさんあります。
*ムガル帝国では、宦官(去勢された男性)がハーレムなどを取り仕切っていた。
(2016年5月)
プロフィール
城戸 康裕(きど やすひろ)さん