第30回 吉澤 要人さん

世界遺産と好きな歴史や美術がリンクして勉強がとても楽しかった

第30回 吉澤 要人さん 俳優・歌手

歴史・地理や美術が好きなのは、両親の影響で自然と身に付いた教養

―― 吉澤さんは高校在学中から芸能活動を開始し、卒業後すぐに世界遺産検定にチャレンジされました。世界遺産検定を知ったきっかけは何ですか?

 高校3年のときに世界史を専攻していました。授業のなかで世界遺産や美術に関することも色々出てくるのですが、範囲が広いせいか一つひとつを深く知ることができないまま終わってしまい、ずっと残念な気持ちを抱えていました。
 卒業して、「さぁこれから好きなことを勉強できる」と思ったとき、ふと思い出したのが世界遺産だったんです。調べてみたら好きな歴史や地理、美術などをすべて網羅していて勉強しやすいと思ったし、資格という形になるのも目標になる。将来ミステリーハンターになりたいという夢があるんですが、世界遺産の資格があれば絶対役立つに違いないとも思いました。

受検日が2週間後に迫っていたんですが、鈴木亮平さんが一夜漬けで合格したという記事を読んで、「僕には2週間ある、絶対1回で合格してやろう!」と決心しました。

―― 最初から2級を受検されたのはなぜですか?またどんな勉強をされましたか?

 子どものころ、家に貼ってある世界地図をよく見ていたり、世界の大陸や国のパズルで遊んでいた記憶があります。父親に世界の国に関するクイズや、○○の首都はどこでしょう?みたいなのを出してもらうのが好きで、よくせがんでいました。だから世界史で重要な場所が出てくると、それはここ、とすっと頭に入ってきました。
 美術が好きになったのは、母親と行ったアルチンボルド(注)の展覧会がきっかけです。特に教育的ということではないけれど、今思うと両親は「教養としてこういうことは知っておいたほうがいい」という思いがあったのかも知れませんね。だから地理や世界史、美術は自然に好きになってテスト勉強も頑張っていました。ひと通りの基礎知識は身に付いているかなと思っていきなり2級にトライすることにしました。
 勉強方法については、知識を身に付けるには「書いてまとめる」のが一番だと思うんですが、なにしろ2週間しかない。受検を決めたその日に2級対策のテキストを買ってきて、ここは出そうだなと思ったところを中心に、毎日焦りながら読み込んでいきました。世界史を見直すのに、高校時代の教科書やそれに関連した図説、チャートも役立ちました。

興味がある遺産をネットで調べたり、世界遺産に関する最新のニュースもチェックしたりしていました。結果、勉強していた部分が運良く試験に出たこともあり、1回で合格することができました。

世界の大きさを知り、自分も世界で活躍できる人間になりたいと思うようになった

―― 勉強するなかでどんなことが印象に残りましたか?

 それまで世界遺産ってきれいな場所とか建物とか、単なる肩書きのようなものかなというイメージでした。でもそれぞれの遺産には、遺産として登録されるだけの理由や価値があることがわかりました。また原爆ドームのような負の遺産と言われるものや、存続が危ぶまれる危機遺産があることも知りました。そういう貴重な遺産を世界全体で守ろうとしているのはすごいなと思います。
 それになぜ負の遺産や危機遺産があるのか、その歴史や問題点を知ったことでニュースの見方や世界の見方が変わってきました。世界遺産を勉強したことで自分の人生に今までと違う大きな観点や世界観が加わったこと、それが大きな収穫でした。

―― 好きな世界遺産、行ってみたい世界遺産はどこですか?

 『タージ・マハル』にぜひ行ってみたいです。あの全部大理石でできた巨大な建物が、完全に左右対称でできているのは素晴らしいと思います。で、『タージ・マハル』に行くなら同じインドの『エローラーの石窟寺院群』も見てみたいです。山全体の一枚岩に寺院が彫られているなんて、すごいですよね。

美術館巡りが好きで、オフになると美術展をチェックしているんですが、今まで何回も行ったことがある上野の国立西洋美術館、あそこが『ル・コルビュジエの建築作品』の1つとして世界遺産になっているのも検定を勉強してから知りました。今度行くときは「世界遺産」という観点で建物をじっくり鑑賞してみたいと思います。
※写真は国立西洋美術館のアルチンボルド展に行った際の写真(2017年)

―― 世界遺産を学んだことでお仕事に役立つことや変化はありましたか?

 時々もし自分が俳優になっていなかったら、何になっていたんだろう?何がしたかったんだろう?と考えることがあります。漠然とだけど、答えは国際関係のボランティアのようなことをしてるかなって。それは別の場所で同じ時間を共有している人たち、困っている人たちに自分が何かできたらいいなという気持ちが小さい頃からあったからです。
 今回、世界遺産の勉強をして世界の大きさを知ったことで、自分も世界で活躍できるような人間になりたいと思うようになりました。というのも、例えば有名になって国際的なキャンペーンなどに参加することで、多くの人に関心を持ってもらえる。そういう形で自分も世界のために何か貢献できるんじゃないかと思うようになったからです。世界遺産はそんな気付きを僕に与えてくれました。

―― 検定で得た知識をこれからどう活かしていきたいですか?

 これから色々な世界遺産を目指して旅に出たい。そして検定で得た知識と、映像の力を駆使して、誰が見てもわかる言葉で世界遺産を発信していきたいと思っています。僕を応援してくれる方々が、僕だけでなく僕が訪れた世界遺産も好きになってくれたらとても嬉しいし、実現したらカッコいいですよね(笑)。そのためにも絶対1級を取りたいので、次の検定へ向けて勉強を始めました。

「世界遺産は楽しい!」と大きな声で伝えたい

―― 最後に世界遺産について学ぼうと思っている人へ、メッセージをお願いします。

 世界遺産というと一見、堅くて難しいイメージがあるかも知れません。でも実際勉強してみると美術や歴史とどんどんリンクして、とても楽しいものだとわかりました。僕のように、世界遺産は自分が興味のあるものと何らかの形で必ず繋がってくるものだと思います。あるいは逆に世界遺産を勉強することで、自分が好きな何かが見つかるかも知れない。だから、世界遺産にハマってくれる人が一人でも増えればいいなと思っています。

メンバーの長野くんと一緒にFC撮影で行った思い出の江ノ島の海。趣味のフィルムカメラで撮りました。


(注)ジュゼッペ・アルチンボルド…イタリアの画家。緻密に描かれた果物、野菜、動植物などを寄せ集めた珍奇な肖像画で知られる。

(2023年3月)

プロフィール
吉澤 要人(よしざわ かなめ)さん


スターダストプロモーション所属
2003年7月12日生まれ
2020年にNTV「FAKE MOTION-卓球の王将-」、2021年にNTV「FAKE MOTION-たったひとつの願い-」に伊藤俊介役でメインキャストとして出演。2022年5月には演劇集団Z-Lion第12回舞台公演「テーマ我が家の家族」に桑野智弘役、2023年2月には「INDESINENCE Case:Dry Crimson Thistle」に西蓮寺穏歌役で出演。ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」のメンバーとしても活動中。趣味のカメラはフィルムカメラを愛用している。また時間があれば釣りへ行く程釣り好きで、80cmの鯉を釣った経験がある。そして高身長から発する低音ボイスが魅力的。

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