第34回 廣岡 まりあさん

世界遺産の背後にある歴史や物語に愛おしさを感じる

第34回 廣岡 まりあさん タレント・リポーター

旅行・世界遺産好きを自分の強みにするために検定に挑戦

―― 世界遺産に興味を持たれたのはいつ頃ですか。

 元々野球が好きなんです。事務所に所属して仕事をするときに、野球以外に何かもう一つ自分の強みになるものが欲しくて、だったら好きなものがいいなと。同じ事務所の鈴木亮平さんが世界遺産検定を取られていることを知って、私は旅行も世界遺産も好きなので挑戦してみようと思ったんです。

―― そこから検定受検に至った経緯、ステップアップしていった経緯を教えてください。

 大学4年生のときに3級、2級と続けて受検しました。1級は2回目の受検で合格しました。1回目はぎりぎりで落ちてしまって、それが悔しくて対策や勉強の仕方を工夫して臨んだんです。マイスターは3度目の正直で合格できました。

賞状とともに。廣岡さんのお父様もマイスターに合格、お母様も1級を保有。まさに「世界遺産一家」。

―― さまざまな検定や資格をお持ちですが、世界遺産検定の勉強は大変でしたか。

 世界遺産検定の勉強を辛いと思ったことが本当にないんです。テキストを読むだけでも楽しいから、今でも何回も読み返しています。ただ、すごく量が多くて一気に全部覚えるのはちょっと難しいので、好きなものから順番にまんべんなく覚えられるように心がけていました。勉強自体はまったく苦ではなかったですね。

廣岡さんの勉強ノート。移動が多い仕事柄、その間に勉強しやすいようルーズリーフに書き込んで持ち運んだ。

自分でも驚いたマイスター最高得点の獲得

―― 第56回検定でマイスター最高得点を獲得し、世界遺産アカデミー賞を受賞されました。その要因についてご自身ではどのように感じていらっしゃいますか。受賞の感想とともにお聞かせください。

 マイスター試験の1回目と2回目は、問3で最後まで文章を書けなかったんです。もちろん自分の努力不足だとわかってるんですが、それがすっごく悔しくて。3回目は絶対に書き上げるぞっていう気持ちで、勉強しているときから時間配分を意識していました。

 今回出題されたテーマは必ずしも自分の得意分野ではありませんでしたが、マイスター試験を受けてみて、テーマに応じた具体的な世界遺産を事例で説明することが大事だと実感したので、ジャンルごとに分けて勉強しました。勉強ノートもここにありますが、情報照会、危機遺産、オーバーツーリズム……具体的な遺産名をジャンルごとにまとめて整理しました。

 合格を知ったのは、家族でご飯を食べていたときです。実は両親も世界遺産検定を受けているんですよ。今回は父と私がマイスターを受検していて、結果が届いているけどどうしようか?って。受かっていなかったらショックだな、見たくないな、なんて話をしていたんですがやっぱり気になるので父とその場で見て。2人とも「わー!受かった!」って(笑)。

世界遺産アカデミー賞のトロフィーとともに。最高得点の合格と知って「サプライズに心臓がドキドキしました」。

―― 特技の「50音世界遺産知識」とは何でしょうか。

 50音のどれかを言ってもらったら、その字から始まる世界遺産の知識を披露するというものです。

―― では、「な」

 ナハニ国立公園。世界で最初に登録された世界遺産のひとつで、ナイアガラの2倍あるヴァージニア滝があります。

―― では、「し」

 シーギリヤ。わずか11年しか栄えなかった悲しき歴史のある地、です。

…このあとしばらくこのやり取りが続いたが、廣岡さんは完答!ちなみに2周目、3周目もできるそう。楽しみながら勉強していたことが窺える。

世界を知ることが、日本の文化の深みを改めて実感するきっかけに

―― これまでに訪れた世界遺産のなかで印象に残っているところとその理由を教えてください。

 最初に世界遺産に興味を持ったきっかけは、幼い頃に家族で訪れたイエローストーン国立公園とメサ・ヴェルデ国立公園です。バイソンが近くを歩いていたり、間近で見た間欠泉の噴出は今も映像で持っています。地球が生きているんだってすごく感じた場所でした。鳥肌が立ったのを覚えています。

 もうひとつ挙げてもいいですか?白川郷・五箇山の合掌造り集落もすべて訪れたのですが、実際に家屋に住まれている方にお話を伺いました。集落によって茅葺きの種類が違うとか、和紙を作るところがあったりと、同じように見えてもそれぞれ違いがあることを、実際に訪れたからこそ知ることができて感動しました。

 それから、沖縄旅行をしたときに沖縄の文化遺産は全て回りました。印象に残っているのは勝連城。入ってすぐにある防御田地、危険時に逃げこむためのガマ、敵が侵入しにくくするために登るに連れて幅が狭くなる階段。軍略家・阿麻和利らしい造りが細部に散りばめられていました。

「ただ、行った日はあいにくの天気だったので、もう一度しっかりと見にいきたいです。そのほかにも行った世界遺産はSNSで紹介しているので、ぜひ見ていただきたいです!」

―― 今後行ってみたいと思う世界遺産とその理由を教えてください。

 アーグラ城とタージ・マハルです。妻のお墓タージ・マハルを建てたシャー・ジャハーンは、その隣に自分のお墓も建てたかったのに、実の息子によってアーグラ城に幽閉され、晩年はその窓からタージ・マハルを見て過ごしたという……どんな思いで、どんな景色を見ていたのか……行ってみたいです。

 同じく悲しい歴史のある場所ですが、シーギリヤも。今は獅子の足しか残っていないですが、復元図を見たら驚くような大きさでした。シーギリヤ・ロックの上の遺跡には人の営みを思わせるものがあって……私は世界遺産の背後にある物語に惹かれるのかもしれません。

 あともうひとつ!私アニメがすごく好きなんですが、『キングダム』の時代の遺産である始皇帝陵と兵馬俑坑。一体一体、服装だけでなく、表情や髪型まで違うらしくて、実物を見てみたいんです。

―― 世界産検定、世界遺産を学んでいる方にメッセージをお願いします。

 まずは自分自身も強く感じたのが、世界遺産検定を受ける前と後で、世界遺産の見え方がすごく変わったなということです。京都の学校に通っていたので世界遺産は身近にありましたが、どうして作られたのかといった歴史はまったく知らずにいました。それを知ると、ひとつ一つの遺産のディティールに歴史を見ることができて、愛おしく感じられます。

 世界遺産を学ぶことで旅行がより楽しくなりますし、日本のことを改めて好きになるきっかけになります。私も外国の方に平等院の話をしたらとても興味を持ってくれて、日本の文化の深みを逆に実感しました。世界遺産を通じて、物の見方が広く深くなったと思います。

インタビュー後は世界遺産アカデミー宮澤主任研究員と世界遺産談義にも花が咲いた。

(2024年11月)

プロフィール
廣岡 まりあ(ひろおか まりあ)さん


ホリプロ 所属
1998年4月8日生まれ
愛知県名古屋市出身
同志社大学 グローバル地域文化学部 卒業。小学生雑誌「ニコ☆プチ」でファッションモデルとして活動。大学3年間はナゴヤドームでボールガールをし、リーダーも務める。自他共に認める熱狂的野球ファン。主にスポーツ関連のテレビ、ラジオを中心に、その他にもOBC「勘定奉行」CM、株式会社HOYA「スマホメガネ」CM、ドラマなどに出演中。

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