柳下 恭子さん/株式会社JTB

認定級 1級

柳下 恭子 さん

株式会社JTB

1級認定と旅行会社勤務の立場を活かし
世界遺産のアンバサダー的な活動をしていきたい

―― この度は1級の合格、おめでとうございます。

 ありがとうございます。1級は遺産の数も多くなり、それぞれの遺産がなかなか覚えられず苦労しました。海外の遺産ではカタカナの人物名が覚えづらかったり、別の人物とごちゃまぜになってしまったり…。でも苦労した分、合格の結果を見たときはうれしくて心躍りました!

―― 世界遺産検定をご存知になったきっかけと、なぜ受けてみようと思ったのかを教えてください。

 初めて世界遺産検定のことを知ったのは、テレビ番組で取り上げられているのを見たときだったと記憶していますが、旅行会社に勤めていることもあり、関連する資格・検定にはひと通り目を通していたので、そこでも目にしていたと思います。ちょうど初めての受検の前に、社内の資格制度が変わって、自発的にスキルアップしていくことがより評価されるようになったので、自分の知識を深め、世界への知見を広げたいと思い、受検を決めました。

―― お勤め先ではどのようなお仕事をされてきたのでしょうか。また、旅行会社ということで、世界遺産検定がお仕事に活かせるイメージがあったのでしょうか?

 私はJTBに入社し、最初は店頭でカウンター業務をしていました。仕事を続けていくうちに商品を作ることに興味が湧いてきて、その後、企画や仕入の仕事に携わっていたこともあります。世界遺産検定認定の肩書きがお客様とのコミュニケーションに役立ちますし、企画職であれば世界遺産の知識を役立てる場面は多いと思います。

 JTBグループでは、人材育成の一環で「資格取得報告」という制度があり、各種資格を持っていると自己アピールになると思います。

『私もこの度の1級取得を会社に報告しました。今後も自身のキャリアアップや会社への貢献につなげていきたいですね。』

―― 世界遺産検定をお仕事やキャリアに活かしていただけるのは私たちとしてもうれしい限りです。1級合格に向けては、どのような勉強をされましたか。

 単純にテキストを目で追っていても、1級に出てくる遺産は膨大な量で頭に入らないので、古いやり方かもしれませんが、私はノートに書き出す「書いて覚える」方法をとりました。ポイントを箇条書きにしたり、自分のなかで歴史をたどれるようにストーリーにして書き出したり。2級のときにも同じ方法で20冊ぐらいの量になりましたが、1級は40冊ぐらいのノートが出来上がりました。

 1級はテキストが厚く、重たいので持ち歩くには大変なため、通勤の行き帰りはテキストではなくノートで学習していました。テキストの写真を見て視覚的に覚えるという効果もテキストにはあると思うのですが…。平日は仕事をしているので、通勤時のノート学習が貴重な勉強時間でした。

 また、TBSのテレビ番組『世界遺産』もすごく好きなので、毎回録画をして、放送される遺産のテキストのページを一緒に開いて、知識を得ました。目や耳から入ってくる情報は知識の定着に役立ちました。

―― 勉強時間としてはどのくらいだったのでしょうか。

 朝は満員の通勤電車に揺られながら自作のノートを見て覚える。夜は仕事から帰り、夕食と入浴後の30分~1時間くらいだけでも、テキスト・ノートとにらめっこ。休みの日は、出かける予定があるときは30分〜1時間でも時間が取れればテキストやノートと向き合い、予定のない日は学習時間をスケジュール化して勉強に臨みました。3級、2級と受かったあと、続けて1級を受けようとチャレンジしてきたので、トータルの学習期間も3年間ぐらいになっています。今やテキストが愛読書になりました。

 継続的に学習してきたので、その上を目指さないともったいない気持ちも芽生え、「絶対に1級に合格しなければ!」という心境になりましたね。有名な俳優さんや、芸人さんが1級所持されていると知り、よく知る著名人の方に何とか追いつきたい、負けられないという気持ちも背中を押してくれました。

『今回は、絶対に合格するなら言葉(言霊)にしたほうがいいと思い、勉強していることをあえて友人や仕事の仲間にも伝えていました。このあとみんなにも難関の1級合格を報告して自慢しようと思います。』

―― お忙しいなかで時間をかけて粘り強く挑戦されてきたのですね。そんな勉強のなかで、印象的だったことや行ってみたくなった遺産はありますか。

 家族が海外在住だったこともあり、休暇を利用してアメリカやオランダ、オーストラリアに会いに行ったり、若い頃はダイビングをしていたので、ハワイやバリ島、サイパン、プーケットに行ったりと、世界遺産を学ぶ前から海外旅行にはよく行っていましたが、滞在休暇だったりリゾートステイが目的で、世界遺産を意識した旅行ではありませんでした。これからは世界遺産がメインの旅行をしてみたいですね。世界遺産を実際に訪れて、その空気・世界観のなかに身を置きたいなと感じています。そういった意味では、世界がより近くなった気がします。その国・土地のことをもっと深く知りたい、と思うようになりました。

 コロナ禍もあって数年間海外に行くことができませんでしたが、お休みが取れたらヨーロッパに行きたいです。趣味でヴァイオリンを弾くということもあり、多くの音楽家を生んだオーストリアのウィーン、ドイツなどに魅力を感じます。音楽家たちが「どのような時代に」「どんな場所で」「どのように生きてきたか」を感じてみたいですね。フラメンコを習っていた時期もあるので、スペインの世界遺産にも興味があります。

 国内で行ってみたい遺産もあります。姫路城です。北の北海道の知床の世界遺産から~南の沖縄・西表島までの国内の世界遺産地域も数多く訪れてきたのですが、姫路だけは通過するばかりで行ったことがないんですよ。勉強で知識もついているので、お城の構造なども興味深く見学できるのではないかと思います。

―― とても多趣味でいらっしゃるのですね!学んだことを活かし、今後の人生でこんなことをしてみたい、というプランなどはありますか。

 さまざまな土地の文化・歴史・芸術などを世界遺産を通じて知ったことが、私の人生観を豊かにしてくれています。また、世界では戦争・紛争が起きていますが、世界遺産学習を通じて文化財の保護・保全の大切さを感じ、平和を願う気持ちも強まりました。これからも継続して世界遺産を学びたいですし、1級に認定されたことを活かして、アンバサダー的な活動もできたらいいなと思っています。

『世界遺産の知識は、世界の人々とのコミュニケーションのきっかけになるので、今後の海外旅行もさらに楽しみになっています。』

(2024年3月)