山内 貴子さん/キャビン・アテンダント

山内 貴子さん

認定級 2級

山内 貴子 さん

キャビン・アテンダント

お客様とCAを結ぶ世界遺産

―― 世界遺産の知識はお仕事にどのように活きていますか?

 私は国際線、国内線のCAをしています。CAの大切な仕事のひとつがお客様との会話です。たとえば屋久島に行かれる方にその植生がグランドキャニオンと似ていることをお話ししたり、エジプトに向かう方にアブ・シンベル神殿が世界遺産活動のきっかけになったことをお伝えして盛り上がりました。また、世界遺産が現在世界中で890件あることや負の遺産のような物件もあることをお話しするととても驚いていただけます。逆に帰国される方は旅行の話をされたがるので、どの世界遺産がよかったのか伺うと会話が弾みます。世界遺産はあらゆる時代や場所にまたがっているので、どんなお客様でも何かしら話のきっかけになるようです。

 私自身としましても、世界遺産検定の勉強をする過程で歴史や地理や自然はもちろん、宗教や地学、環境問題、国際問題まで総合的な学習ができて、人としての深い素養を身につけることができました。

チベットはラサのポタラ宮。山内さんは先進国やリゾート地など、これまでにエジプトやインド、ネパール、ペルーなど50ヵ国前後を訪れた

―― 世界遺産を学ぶことの魅力を教えてください

 仕事柄海外に行くことが多くて旅行好きになり、これまでに70~80件の世界遺産を訪ねました。最初は世界遺産を意識することはなかったのですが、世界遺産を学んでから訪ねるとおもしろさはいっそう広がりました。たとえば先日知床に行ったのですが、景色が美しいのはもちろん、それを成立させている環境条件や保護に対する取組みまで見えてきて、とても奥深い体験ができました。

 勉強していておもしろいのは、訪ねた場所や学んだ知識がつながっていくところです。世界史で習ったレコンキスタがアルハンブラ宮殿と結びついたり、トレッキングで感動したサガルマータが昔は海の底だったことに思いをはせたり、おかげでもっともっと知りたいと思うようになって、世界遺産は私のライフワークになりました。
 
 この世界には地球誕生からの時間の流れや、人類が引き継いできた文化があって、そうしたつながりがあって今が成立しています。世界遺産はそんな地球の宝物を大切に保護しながら未来につなげようという、すばらしい活動だと思います。