認定級 2級
稲村 行真 さん
大学生
―― 稲村さんは、2014年9月に2級を取得しています。検定に挑戦した理由を教えてください。
大学時代はバックパック旅行でタイを訪れたり、ブータンに留学したりアジアを中心に各地を巡りました。世界遺産検定は大学のFLP *というプログラムにある「エコツーリズム・環境保全」のゼミで知りました。受検のきっかけは先生のすすめですが、興味があったというのも大きいですね。アジアの自然遺産がすごく好きなんですよ!
ゼミの仲間の多くは3級から受検していましたが、僕自身は2級のテキストに行ってみたい世界遺産が多く紹介されていたので2級にしました。それに2級の方が得られる知識も多いですしね。
テキストは、2ページの見開きにそれぞれの遺産に関する情報が凝縮されています。遺産の魅力が的確にストーリーにまとめられていて、こうゆう伝え方があるんだと発信する立場からも刺激を受けました。
―― 世界遺産検定を受けてよかったことはありますか? また、今後、世界遺産に関する知識をどう活用したいですか?
世界遺産の基礎知識や理念を学べたことがよかったです。特に興味深かったのは、1994年に採択された奈良文書です。これにより、文化遺産における遺産の解体修理や再建などが可能となったわけですが、実際、奈良文書の採択以降、木の建物の解釈が広がり、遺産として登録されるようになったように思います。たとえば白川郷は翌1995年に、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産登録され、京都や奈良も奈良文書採択後に登録されています。木の文化が世界に認められたんです。
僕には日本の文化を伝え「若い人たちに日本の文化に誇りを持ってもらう」という夢があり、その切り口として日本の古民家の価値を高める活動をしています。全国100カ所以上の古民家を視察してきましたが、用いられている伝統工法や人の暮らしを支える工夫といった、日本の文化の素晴らしさを日々実感しています。
いま日本の都会は、街の個性が失われているように思います。世界でも際立った独自性を持つ日本のアイデンティティが失われてしまっているのはすごくもったいない。そんな日本の文化を、世界遺産を学ぶことでより深く知ることができました。
学生時代は起業をはじめ、さまざまなことに挑戦しましたが、卒業後は古民家に関する活動に専念していきます。
*ファカルティリンケージ・プログラム(FLP)
中央大学の学部横断型の課題発見・解決型学習プログラムで、「環境」、「ジャーナリズム」、「国際協力」、「スポーツ・健康科学」、「地域・公共マネジメント」の5つのテーマ別プログラムがある。FLPにて開講されている全プログラムには定員があり、希望者全員が履修できるわけではない。
(2017年1月)