2022年、高等学校の地理歴史科で「地理総合」が必修科目となりました。約50年ぶりとなる地理科目の必修化には、社会構造や生活環境が急激に変化していることが背景にあります。学校教育では、持続可能な社会の形成に貢献できるための資質や能力、態度を育んでいくことが求められています。
世界遺産は、豊かで複雑な世界のシンボルです。長い歴史の中で生まれた文化財や自然景観を継承していくことは、世界遺産の存在意義のひとつでもあります。世界遺産に表れる世界の文化の多様性は、まさに「地理総合」で学んでいくところのものです。
また、「地理総合」では、地理的環境と人間の相互依存関係に着目しています。これは文化遺産と自然遺産を互いに影響しあい、切り離すことのできないものと位置づける世界遺産の概念と共通していると言えます。
さらに、危機遺産や遺産環境の変質といった諸課題と、その解決に向けた国際連携体制である世界遺産の取り組みは、持続可能な社会づくりの観点から地球的課題や国際協力の在り方を考察していく「地理総合」の学習に、具体的な事例を示すことができます。
世界遺産を通して「地理総合」を学ぶことで、文化や歴史、自然環境などの幅広い知識が身に付くだけでなく、多面的・多角的に社会を捉え、考察することができるようになります。
本書は全8章の本文と2つの「チャレンジ!」で成り立っています。
各章は複数の節に分かれており、約150件の世界遺産の事例を通して、「地理総合」のテーマを学ぶことができる内容となっています。各節の最後には、本文で扱ったテーマに関する探究学習の場を設けています。メインクエスチョンと複数のサブクエスチョンから成り、学習した内容を元に自分なりの回答を導きやすい構成になっています。
「チャレンジ!」は生徒が能動的に学びに向かうための単元です。学習を通して培った知識や技能を生かして、課題を考察できるようなテーマを設定しています。
世界遺産検定の公式テキストとは異なり、「地理総合」を軸として遺産を紹介しているため、すでに世界遺産を学習したことがある方も、世界遺産の知識をより深めることができる内容となっています。
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