探究課題「世界遺産地域におけるGISの効果的な活用方法を考えよう」
世界遺産×SDGsチャレンジ!2023年度の探究課題の一つ「世界遺産地域におけるGISの効果的な活用方法を考えよう」について、京都府情報政策課にお話を伺いました。記事を読み、課題解決策を考えてください。
京都府情報政策課
赤間 陽樹さん(左) / 梅田 佳宏さん(右)
日本列島のほぼ中央に位置する京都府は、4,613.20平方キロメートルの面積を有しています。これは国土の1.2%で、47都道府県中31番目の大きさです。北は日本海と福井県、南は大阪府、奈良県、東は三重県、滋賀県、西は兵庫県と接しており、南北に細長い形をしています。
また平安京や長岡京など、過去に都であった歴史を有しており、日本三景の一つである天橋立も大変有名です。京都市・宇治市の文化財が世界遺産に指定されており、日本はもとより、世界中から観光客が訪れております。
GISとは「Geographic Information System」の略で、「地理情報システム」という意味です。このシステムは、地理的位置を手掛かりに位置に関する情報をもったデータを総合的に管理・加工し、視覚的に表示することで分析や判断を可能にします。身近なところでは、地図アプリやカーナビなどで使用されています。
GISは平成7年1月に発生した阪神淡路大震災の反省をきっかけに、日本政府において本格的な取り組みが始まりました。
統合型GISとは、京都府及び府内市町村が保有する地図情報をインターネットにて閲覧できるシステムです。京都府と府内市町村では本システムを共同利用しているため、地形図や航空写真などの空間情報を共有し、様々な行政業務で有効活用をしています。これにより、各部署単位で発生していた費用の削減、および業務の効率化をはかっています。
導入当時、京都府では3つの課題がありました。1つ目は「部署別のGISの乱立」、2つ目は「GIS維持費の削減」、3つ目は「災害時にGISを即時使用できる環境の整備」です。
京都府ではこれらの課題を解決するため、京都府と各市町村の共同利用による統合型GISの導入を行い、コスト削減及びサービス向上に努めました。
様々な用途で活用してほしいですが、まずは当初の目的であり課題の一つでもある『防災』の面で活用してほしいです。統合型GISでは、避難所マップや土砂災害警戒区域等情報マップといった地図情報を掲載していますので、自宅近くの避難所の位置確認など万一の災害に備えた活用をしてほしいです。
その他、普段の生活で役立つ情報(観光地・公園・公共施設の位置など)も地図上で確認できますので、皆様の生活における利便性が向上するような活用をしていただけたらと思います。
これまで京都府の統合型GISは、どちらかというと防災面での活用を主眼として開発・運用をしてきました。そのため、世界遺産の観光や保全への活用はまだあまり検討が進んでいない実情があります。ぜひ若い方々の柔軟な発想で、ありとあらゆる要素と結びつけていただき、統合型GISの可能性が広がる活用方法を提案していただけたら嬉しいです。