【探究課題】身近な世界遺産候補を見つけ、どのように保護・保全すべきかを考えよう
世界遺産×SDGsチャレンジ!2024年度の探究課題の一つ「身近な世界遺産候補を見つけ、どのように保護・保善すべきかを考えよう」について、世界遺産×SDGs実行委員会にお話を伺いました。記事を読み、課題解決策を考えてください。
特定非営利活動法人 世界遺産アカデミー 主任研究員
世界遺産×SDGs実行委員会 委員長
宮澤 光さん
世界遺産とは、世界遺産リストに記載された、「顕著な普遍的価値」をもつ建物や遺跡、景観、自然などのことです。また、どの国や地域の人でも、いつの時代のどの世代の人でも、どんな信仰や価値観をもつ人でも、同じように素晴らしいと感じる価値を「顕著な普遍的価値」と呼びます。
誰が見ても同じように素晴らしいと感じる価値である「顕著な普遍的価値」を持っているのが世界遺産ですが、様々な国や文化、時代の人々が同じように感じる、そのような価値は本当にあり得るのでしょうか。家族や親しい友人でも価値観が異なる点があるなど、そうした「顕著な普遍的価値」の存在は理想でしかないように感じてしまうかもしれません。
そこで世界遺産では、顕著な普遍的価値を証明するものとして、以下の10項目の登録基準を定めています。この登録基準のどれかひとつ以上にあてはまれば、たとえほかの点において意見が分かれたとしても、その遺産にあてはまる登録基準の項目においては顕著な普遍的価値をもつとして、世界遺産に登録されます。
登録基準① 「人間が作った傑作」
登録基準② 「文化交流」
登録基準③ 「文明の証拠」
登録基準④ 「建築・科学技術」
登録基準⑤ 「伝統的集落」
登録基準⑥ 「出来事や宗教、芸術」
登録基準⑦ 「自然の景観美」
登録基準⑧ 「地球の歴史」
登録基準⑨ 「固有の生態系」
登録基準⑩ 「絶滅危惧種」
世界遺産としての価値が、重大かつ明らかな危機に直面している場合、その遺産は「危機にさらされている遺産リスト(危機遺産リスト)」に記載されます。また、そうした遺産は「危機遺産」と呼ばれます。世界遺産が直面する危機には、地震や津波などの自然災害のほか、密猟や外来種による生態系の悪化、宗教対立や民族紛争、戦争などがあります。また、近年では過度の観光化や都市開発なども大きな危機となっています。
この探究課題では指定されたルールに沿って身近な世界遺産を見つけていただきます。皆さんが見つけた世界遺産候補が実際に世界遺産として登録されたと仮定して、適切な保護・保善の方法を考えてみてください。
※下記6点を発表スライドと企画書に記載してプレゼンテーションをしてください。
① 価値が伝わる魅力的な遺産名をつけましょう。
② あなたがその場所を選んだ理由を考えましょう。
③ 世界遺産の登録基準で当てはまるものを1つ以上選び、その理由を考えましょう。
④ 世界遺産候補を取り巻く課題がないか調べてみましょう。
⑤ 写真やイラスト、地図を添えて、世界遺産候補をわかりやすく紹介しましょう。
⑥ 世界遺産登録後、どのように保護・保全すべきかを考えましょう。
世界遺産に登録されている場所以外にも、世界には残して伝えていきたい魅力的な場所がたくさんあります。皆さんの周りにも見渡してみると、きっと見つかるはずです。家や学校の近くなど、身近にある建物や寺社、文化施設、街並、自然、風景などに登録基準を当てはめて、世界遺産候補として紹介してみましょう!