2022年ももうすぐ終わろうとしています。サッカーのワールドカップやバゲットの無形文化遺産登録など書きたいことがたくさんあったのですが、何もできないまま年の瀬になってしまいました。数年続く新型コロナウイルス感染症の流行は世界を大きく変えてしまいましたが、日本でも世界でもそれと同じくらいの変化をもたらす出来事があったこの1年だったように思います。世界遺産関連で考えても、今年ほどユネスコや世界遺産委員会の無力さを感じたことはなかったのではないでしょうか。世界遺産委員会の議長国がロシアであったことが、問題を難しくしていました。
今回、11月末にロシアのアレクサンドル・クズネツォフ氏が議長を辞任したことを受けて、次の議長が誰になるのか注目されていました。順番で行くとサウジアラビアが次の議長国の第一候補ですがまだ決まっていません。次の議長が決まるまでは、サウジアラビアのユネスコ代表部大使であるハイファ・アル・モグリン王女が議長を務めることになり、ユネスコの世界遺産センターのHPでも議長の名前がハイファ・アル・モグリン王女に変更されています。また手続き規則の中にある、世界遺産委員会は1年に少なくとも1回以上開催する、というところが今年はできないため、特別会合でこの規定の一時停止が決まりました。次の特別会合は2023年の1月とのことなので、今年はここまでということでしょうね。
ユネスコは各国の利害がぶつかる政治的なところではなく、教育や文化、科学などの点で協働しながら平和な世界の実現を目指していますが、「国際」機関であるユネスコや、「国際」条約である世界遺産条約の難しさが再認識された1年でした。ユネスコや世界遺産委員会がどう変われるのか、来年開かれるであろう世界遺産委員会にはぜひ注目して頂きたいと思います。
今年の寒波は一段と強いそうですので、どうぞ皆さまお気をつけて、よいお年をお迎えください。その前にメリー・クリスマスか!
<関連記事>
■ 研究員ブログ184 ■ 第45回世界遺産委員会の開催地はどうなる!?
■ 研究員ブログ185 ■ 第45回世界遺産委員会の延期決定!
■ 研究員ブログ190 ■ 延期されていた世界遺産委員会の開催地が決まりそうです!
(2022.12.21)