世界遺産とは

「人類共通の財産」世界遺産

世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき「世界遺産リスト」に記載された、「顕著な普遍的価値」をもつ建造物や遺跡、景観、自然のことです。 「顕著な普遍的価値」は、どの国や地域の人でも、いつの時代のどの世代の人でも、どのような信仰や価値観をもつ人でも、同じように素晴らしいと感じる価値のことで、そうした価値をもつ世界遺産は、人類共通の財産といえます。

世界遺産の分類と数

世界遺産は、人類が作り上げた「文化遺産」と、地球の歴史や動植物の進化を伝える「自然遺産」、その両方の価値をもつ「複合遺産」に分類され、文化遺産の数が最も多くなっています。

2024年7月21日~31日に、インドのニューデリーにおいて、第46回世界遺産委員会が開催され、文化遺産19件、自然遺産4件、複合遺産1件、合わせて24件の追加登録が決定しました。これにより世界遺産の総数は1,223件になりました。196の世界遺産条約締約国中、168の国と地域に世界遺産が存在します。

世界遺産委員会

世界遺産リストに記載する遺産は、1年に一度開催される世界遺産委員会で審議され、登録の可否が決定します。世界遺産委員会では「登録」、「情報照会」、「登録延期」、「不登録」の4段階の決議を行います。
21の委員国からなる世界遺産委員会では、他にも、世界遺産条約を運用していく諸事項や、世界遺産基金の使い道の決定、世界遺産の保全状況の確認、危機遺産リストへの記載の可否など様々な話し合いを行っています。
世界遺産に登録されるまで
最新の世界遺産委員会情報

日本と世界遺産

世界遺産条約が採択されたユネスコ総会の議長は、萩原徹日本政府代表が務めました。しかし、日本が世界遺産条約に参加したのは条約採択から20年後の1992年のことです。 1993年、「法隆寺地域の仏教建造物群」、「姫路城」、「白神山地」、「屋久島」の4件が日本で最初の世界遺産として登録されました。世界遺産保全への協力や、「真正性」などの価値の見直しに日本は重要な役割を担っています。

危機遺産

世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が危機に直面している遺産は、「危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)」に記載され、世界遺産条約加盟国の協力を得ながら、危機を取り除く努力がなされます。 世界遺産の危機としては、戦争や紛争による遺産破壊、密猟や不法伐採などの自然破壊、地震などの自然災害、過度の観光地化や都市開発などが考えられます。危機を取り除くために「世界遺産基金」なども使われます。

世界遺産リストからの削除

世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が失われたと判断された場合は、世界遺産リストから削除されることもあります。これまでに、オマーンの「アラビアオリックスの保護地区」とドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」、英国の「リヴァプール海商都市」が削除されました。