解説
生神女はいわゆる「聖母マリア」の正教会での呼称です。「カザンの生神女」はロシア正教会で特に知られたイコンで、英語では“Our Lady of Kazan”と言います。
このイコンを所蔵しているブラゴヴェシェンスキー大聖堂は、日本語では「生神女福音大聖堂」とも言いますが、これはブラゴヴェシェンスキー(ロシア語)を日本語に訳したものです。固有名詞ではなく、同じ名前の聖堂は各地に存在しています。
ロシア連邦西部、タタールスタン共和国の首都カザンは、かつてこの地を支配したカザン・ハン国の都でした。
イスラム教を国教としたカザン・ハン国はモスクを築きますが、ロシアのイヴァン4世がカザンを征服したことで、ロシア正教の建築物が建てられました。タタールとロシアの両文化が融合した建物が見られることなどが、高く評価されています。
今年、2022年6月19日から、カザンで世界遺産委員会が開催される予定でしたが、現時点で延期となっています。