解説
ティルスをはじめとするフェニキア都市では、巻貝を材料とした染物が行われていました。1つの巻貝から取れる色素はごく僅かであり、希少性が高いものでした。この技術は「貝紫染め」と呼ばれ、ヨーロッパでは貝紫色は貴人や特権階級の色として用いられてきました。
世界遺産『フェニキア都市ティルス』はレバノン南部に残る遺跡です。ティルスは植民都市としてカルタゴを建設するなど大いに繁栄しましたが、紀元前4世紀にアレクサンドロス大王との戦いを経て衰退しました。
現在残る建築物の大半が、後にこの地を支配したローマ帝国やビザンツ帝国によって築かれたものです。