解説
ポーランド南西部にある『ヤヴォルとシフィドニツァの平和教会』は、17世紀末に建造されたヨーロッパ最大の木造教会です。この教会の建造には、カトリックとプロテスタントの宗教対立に端を発する三十年戦争が深く関わっています。この地の支配者であるカトリックのハプスブルク家は、戦後、プロテスタントへの宗教的寛容さを示すために建造を許可したという経緯を持ちます。
しかし、建設時には様々な条件が課され、耐久性のない建材の使用や、大砲の射程圏内での建設が求められました。ヤヴォルとシフィドニツァの教会が独特な外観をしているのは、砦にならぬように伝統的な石造りでの建造が許されず、木材や粘土を用いて建てられたためです。
「平和教会」には、長きにわたって続いたカトリックとプロテスタントの争いの終結を体現する、記念碑的な意味合いが含まれています。