解説
『ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟』は、イスラム神秘主義者ホージャ・アフマド・ヤサヴィーの霊廟です。ヤサヴィーは、中央アジアの遊牧民にイスラム教を広めた指導者です。霊廟の大広間には、青銅でつくられた大釜が置かれています。金曜日の礼拝の後にイスラム教徒が飲むための水が注がれていました。
中央アジアと西アジアの広範囲にわたる帝国を築いたティムールは、神秘主義を信仰する中央アジアの遊牧民の支持を得るため、1389年からヤサヴィーの聖廟やモスクの改築を進めました。こうして築かれたホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟ですが、ティムールの死によって廟の建築は中断し、一部は未完成のままとなっています。しかし、中央アジアでは「第二のメッカ」とみなされ、多くの巡礼者を集めました。
青いタイルで装飾されたドームは、中央アジア最大のレンガ造りドームで、ティムール朝のサマルカンドの建築物にも受け継がれました。『ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟』は、カザフスタン初の世界遺産として2003年に登録されました。