解説
『オデーサの歴史地区』は、黒海の北西岸に面するウクライナの都市です。オデーサには、昭和に大活躍した第48代横綱・大鵬の銅像が立っています。大鵬の父はウクライナ出身で、1917年のロシア革命を機に日本に亡命していました。2011年に大鵬がウクライナの友好勲章を受章し、銅像が建てられたそうです。
オデーサはヨーロッパでは数少ない、18~19世紀に新しく建てられた街で、ルネサンス後期の「理想都市」の概念を基に均一に開発されました。ロシア帝国時代は海外貿易の拠点となり、仕事を求めた人々が世界各地から集まりました。その結果、街は様々な文化の影響を受けて発展していきました。美しい街並から「黒海の真珠」とうたわれ、数多くの映画や文学、芸術の舞台となったことでも知られています。
2022年2月以降、ロシアがウクライナへと侵攻し、街や文化財への被害が発生していました。そのため、ユネスコとウクライナは緊急的登録推薦を目指して手続きを進め、2023年1月にユネスコ本部で行われた臨時会合で世界遺産に登録されました。今後は世界遺産基金による技術的・財政的な支援が受けられるようになります。