解説
「光のキリストの教会」を意味するクリスト・デ・ラ・ルス教会は、999年に建てられたバーブ・アル・マルドゥム・モスクを、12世紀にカトリック教会へ転用したものです。建物は小さいながらもトレドで最も古く、内部の壮麗な装飾が特徴のイスラム様式の建築物です。
ちなみに選択肢①の「塞がれた門」は、元あったモスクの名称「バーブ・アル・マルドゥム」の日本語訳に相当します。
スペインの中部に位置するトレドは、その歴史上さまざまな宗教の文化が混在する街です。ローマ帝国や西ゴート王国の支配後、8世紀にイスラム勢力の支配下に置かれ、モスクなどのイスラム様式の建築物が築かれました。
その後レコンキスタによりキリスト教徒が街を再征服しカスティーリャ王国の王都となると、モスクは教会に転用され、トレド大聖堂をはじめとするカトリック教会の着工が始まりました。しかし、その間もトレドには多くのイスラム教徒やユダヤ教徒が暮らしたため、街には各宗教の要素の強い建物が残りました。
16世紀にフェリペ2世がマドリードを首都とした後も、トレド大聖堂の大司教はスペインの首座司教の座にあり、依然宗教的な重要度が高い都市です。旧市街全体が『歴史都市トレド』として世界遺産に登録されています。