解説
『コマニの文化的景観』は、この地に暮らすサン族の文化にまつわる世界遺産です。
サン族の言語は、主にアフリカ南部に分布するコイサン諸語に属し、クリック音や舌打ち音と呼ばれる吸着音が発音されることが特徴です。"ǂKhomani"は忠実に発音すると、カタカナでは表記が難しい音です。なお、吸着音にはいくつか種類があり、"ǂ"の記号は硬口蓋歯茎吸着音を表す際に用いられます。
南アフリカのカラハリ砂漠に暮らすサン族は、石器時代以来数千年にわたって狩猟採集生活を営む先住民族です。希少な水資源や植物を利用し、干ばつなどに対処するための技術や知識を発展させて厳しい環境に適応してきました。
世界遺産には、ボツワナとナミビア国境付近の、カラハリ・ゲムスボック国立公園を含む範囲が登録されています。自然と共存するサン族の伝統的な生活様式を伝える、文化的景観です。