解説
白居易の詩は、中国だけでなく日本や朝鮮でも親しまれました。「香炉峰下 新卜山居 草堂初成 偶題東壁」の詩は、廬山の一峰である香炉峰を詠んだものです。『枕草子』には、この詩の第四句「香炉峰の雪は簾を撥(かか)げて看(み)る」を踏まえ、藤原定子が清少納言に謎かけをする様子が綴られています。『枕草子』以外に『源氏物語』などでも、この詩句への言及があります。
世界遺産『廬山国立公園』は長江中流域の南岸に位置し、170以上の峰が連なる景勝地です。秦の始皇帝などの歴代皇帝が訪れたほか、李白、杜甫、白居易といった詩人や画家らがこの地を訪れ、廬山を題材に作品を生み出しました。後漢時代にはいち早く仏教寺院が開かれ、浄土教の発祥地ともなりました。また、20世紀前半には毛沢東が「廬山会議」を開き、中国共産党による大躍進政策の継続を決めました。
中国の文化や宗教、政治において重要な役割を果たしてきた廬山は、文化的景観の概念が認められています。