解説
「ジェームズ島」とは、英国植民地時代に名付けられた名称です。2011年に「クンタ・キンテ島」に改称したため、遺産名も『クンタ・キンテ島と関連遺跡群』に変更されました。
ガンビア側の河口に位置するクンタ・キンテ島は、アフリカ内陸部へ向かうルートとして重要な役割を担っていました。15世紀にはインド航路を求めるヨーロッパ人が訪れて入植し、オランダや英国、フランスなどと支配国が目まぐるしく移り変わっていきました。17世紀に島を支配した英国は、ヨーク公ジェームズ(後のジェームズ2世)から名を取って、島を「ジェームズ島」と名付け、奴隷貿易の拠点としました。英国とフランス、そして海賊などが島の領有を巡って争ったため、破壊と再建を繰り返した要塞跡が残ります。
この島からは多くの奴隷がアフリカ大陸へと送られました。島を舞台に『ルーツ』を著したアレックス・ヘイリーの祖先もまた、クンタ・キンテ島からアメリカ大陸に連れてこられました。
なお、改称後の「クンタ・キンテ」とは、この小説に登場する人物ですが、実在したヘイリーの祖先をモデルにしています。キンテ一族の末裔は、今も島周辺の村で暮らしています。