解説
中国南東部、福建省にある『武夷山』には、3,750年前以上の舟形石棺があります。これらの棺は断崖に挿した木の杭上に懸けたり、崖に掘られた洞穴や岩の隙間に置かれたりしています。このような葬送形態は「懸棺葬」と言われ、中国で見られる懸棺葬の中で、武夷山のものが最古とされています。
『武夷山』は、豊かな自然と多くの奇岩や渓谷で知られる山です。渓流が9回湾曲を繰り返す九曲渓と、400mを超える岩に880段に達する石段が刻まれている天遊峰が特に有名です。
亜熱帯・温帯樹林が広がる希少な動植物の生息地で、ユネスコ生物圏保存地域にも指定されています。また、懸棺葬のように文化遺跡も多く、漢代の王城遺跡や朱子学の祖である朱熹が創設した武夷精舎、道教寺院などがあります。
文化と自然の双方の価値が認められ、世界遺産には複合遺産として登録されています。