解説
クセイル・アムラのカルダリウム(サウナ)には半球状のドームがあり、そこには35の星座を表現した天球図が描かれていました。これは平面以外に描かれたものとして、かつ現存するものとしては、最古級の天球図なのだそうです。
ヨルダン東部の砂漠地帯にある『砂漠の城クセイル・アムラ』は、8世紀初頭にウマイヤ朝のカリフが、酒宴や入浴を楽しむために築いた離宮です。隊商宿を増改築した石造りの建物で、謁見の間とハマムからなります。どちらも世俗的な壁画で装飾されており、踊り子や神話の場面、狩猟の様子、裸婦など、イスラム社会では珍しい図柄のフレスコ画に覆われています。
保存状態が非常に良く、ヨルダンとシリアに残るウマイヤ朝時代の宮殿や城跡としては、最も良く保存されています。初期イスラームの芸術と建築を今に伝える貴重な例です。