解説
「キュクロプス」はギリシャ神話に登場する一つ目の巨人です。漆喰などを用いずに巨石を積み上げてつくった建造物を、後の時代の人々は巨人が造ったものだと考え、このような名称がつけられたそうです。ミケーネやティリンスの遺跡、シチリア島、キプロスなどにも同様の建造物が見られます。
スペインの東に浮かぶメノルカ島には、青銅器時代(紀元前1600年頃)から鉄器時代後期(前123年頃)の間につくられた石積みの遺跡群が残ります。メノルカ島では、集団墓のナベタや、円錐形の塔タラヨット、T字型の石柱タウラなど、さまざまなタイプのキュクロプス式建造物が築かれました。これらの遺跡群は当時の社会や葬送儀礼を伝えるとともに、それらが変化していったことを示しています。
2023年9月に『メノルカ島のタライオティック文化先史遺跡群』として世界遺産に登録されました。