解説
トルコ中西部に位置するゴルディオンは、古代フリギア王国の都でした。ゴルディアスという名の王(その息子という説もあり)は、神殿の柱に牛車を結び「結び目を解いた者がアジアの王となる」と予言しました。
時は過ぎて紀元前4世紀、フリギア王国はアケメネス朝ペルシャの支配下に置かれましたが、結び目は残っていました。そこへやって来た東方遠征中のアレクサンドロス大王は、牛車の結び目を見て剣で断ち切ったと言われています(解き方には諸説あり)。そしてアレクサンドロス大王は予言通り、ギリシャからアムダリヤ川、インダス川までのアジアを征服し大帝国を築き上げたのでした。
世界遺産の『ゴルディオン』には、紀元前2500年から紀元1400年頃までの数千年にわたり、人類が継続的に居住してきました。特に紀元前10~前6世紀にかけては、古代フリギア王国の都として栄えました。
遺跡は主に城塞、山の手、下町、要塞、墳墓エリアからなります。城塞エリアの入口には、紀元前10世紀頃の鉄器時代に築かれた石積みの門が残ります。現在の高さは10mですが、当時は16mほどあったと考えられています。建物は主にメガロン形式で、屋根には長さ10mを超える木材の梁が掛けられていました。
また、墳墓エリアにはフリギア王国最盛期の王ミダスから名を取った、高さ53mの「ミダスの墓」があります。木組みの墓室は世界最古の木造建築物とされています。
『ゴルディオン』は、フリギアの文明を伝える遺跡として最も保存状態がよい遺跡です。