解説
リービッヒ社は自社製品を広めるため、イラスト付きのトレーディングカードやカレンダーなどを商品に同封していました。自然や歴史、科学などさまざまなテーマを扱ったトレーディングカードは、「リービッヒコレクション」として人気を博したようです。
『フライ・ベントスの産業景観』は、フライ・ベントスの街の西側を流れるウルグアイ川に突き出た土地に位置する産業遺産と関連する建造物群で、1859年に設立された食肉処理工場の発展とともに形成されてきました。1865年にはヨーロッパの市場へ牛肉エキスやコンビーフを輸出した食肉加工会社「リービッヒ肉エキス会社(リービッヒ・エクストラクト・オブ・ミート・カンパニー)」の工場が建てられ、この地でつくられた肉エキス製品はヨーロッパを中心に世界各地へ輸出されました。
1924年にリービッヒ社が買収され、「アングロ食肉加工工場(アングロ・ミート・パッキング・プラント)」に改名された後も、フライ・ベントスでは加工肉の製造が続けられました。ウルグアイ川に面した立地や当時の産業施設、労働者の住居群、社会施設群は、世界規模で流通する食肉産業の全体像を伝えるものです。