解説
東京都文京区にある小石川後楽園は、17世紀に水戸徳川家初代・頼房と、2代・光圀によって完成した庭園です。光圀は明の遺臣である朱舜水の意見を取り入れたため、日本と中国の景勝地を模した景観が配されています。その中でも「西湖堤」は蘇堤を表現したものであり、その類としては日本最古とされています。
浙江省杭州市の中心部に位置する西湖の周辺一帯は、三方を丘に囲まれ一年の多くが霧に包まれるために、山水画のような世界が広がります。9世紀の唐代以降、多くの文人墨客を惹きつけこの地にさまざまな建築物が築かれました。13世紀に南宋が都を置くと、杭州は中国人にとって伝統的な景観の最高例となりました。
西湖の周辺には、中国の歴史ある寺廟や楼閣、庭園などが多くあります。人工的に造られた2ヵ所の堤防のうち、一つは唐代の詩人・白居易が、もう一つは蘇軾が築いたものです。西湖の景観は中国国内だけでなく、日本や朝鮮半島の庭園設計にも影響を与えたと言われています。