解説
プリトヴィツェ湖群国立公園のシンボルはヒグマです。ヒグマはかつてヨーロッパやアジア、北米に広く生息していましたが、現在は生息域が著しく狭まっています。プリトヴィツェ湖群国立公園には常に30頭が生息していることが確認されており、厳重な保護の対象となっています。
約300㎢に及ぶクロアチア最大の国立公園であるプリトヴィッツェ湖群国立公園は、美しいカルスト地形の中にある壮大な国立公園です。この地ではエメラルドグリーンの大小16の湖が、92の滝によってつながる幻想的な風景が見られます。
プリトヴィツェ川の水は炭酸カルシウム濃度が高く、川の急こう配で沈殿した炭酸カルシウムが石灰華となり、長い時をかけて川の途中にいくつもの湖が形成されました。川の上流にある湖群は、鬱蒼とした森林に囲まれたドロマイト(白雲岩)の渓谷にあり、数多くの滝でつながっています。下流にある湖群は石灰岩の岩盤上で低い草木に囲まれており、湖の大きさも上流の湖に比べると小さく浅いのが特徴です。
プリトヴィッツェの湖を包むように広がる森林には、ブナとモミの原生林が含まれています。この公園は多様な生物が生息しており、ヒグマやハイイロオオカミ、オオヤマネコなど多くの希少種が見られます。
1990年代に勃発したクロアチア紛争で、この地域も紛争地になったため一時危機遺産となりましたが、戦後クロアチア政府が地雷を撤去し保全措置をとったため、1997年にリストから脱しました。現在は環境保護のため、公園内への一般車両の進入は禁じられています。