解説
キプロス島南部の「ヒロキティアの考古遺跡」は、紀元前7000~前4000年頃に造られた新石器時代の集落跡です。「ヒロキティア」は豚のゆりかご、豚の飼育場といった意味を持つ単語に由来するそうです。
紀元前1万年頃にアジアで興った新石器文明は、前8000~前7000年頃にキプロスに伝播し、その後地中海全域に広がったと考えられています。ヒロキティアの考古遺跡は、この伝播の過程が見られる点で貴重とされています。
ここに住む人々は、石を並べた円形の基礎の上に、土と藁を固めた日干しレンガや石を積んで、円筒形住居を築きました。直径は2~3m、大きいものでは9mほどもあり、屋根つきで、壁面は塗装されていました。墓地跡も発掘されており、副葬品などからも当時の生活ぶりを伺うことができます。