解説
ポルトガルのコア渓谷に岩絵群が存在することが広く知られるようになったのは、一帯で計画されていたダム建設に先立つ調査活動がきっかけでした。ダムが建設されると岩絵群は水没してしまうことから、国内では建設への反対世論が強まりました。1996年、当時ポルトガル首相に就任したばかりのアントニオ・グテーレス氏は、ダムの建設計画を中止しました。
ドウロ川の支流であるコア川とアグエダ川沿いに位置するコア渓谷(ポルトガル)とシエガ・ベルデ(スペイン)には、野外の岩壁に描かれた線刻画が多く残り、旧石器時代の終わりごろから継続的に人間が居住してきたことを示す遺跡があります。
動物など数千に及ぶ線刻画が数千年にわたって彫られ、古いものでは2万年以上前に遡ることができます。一帯は先史時代の人々にとって一種の聖域だったのではないかと考えられています。
なお、現在アントニオ・グテーレス氏は第9代国連事務総長を務めています。選択肢のオードレ・アズレ氏は現ユネスコ事務局長、ラザール・エルンドゥ・アソモ氏は現世界遺産センター長、ヴィシャル・V・シャルマ氏は第46回世界遺産委員会議長です。(2024年6月19日時点)