解説
フィリピン北部のルソン島に位置するビガンの地には、スペインの植民地となる前から貿易の機会を求めた中国人が訪れており、その多くが福建省周辺の出身でした。「ビガン」の名は、福建省で話されている閩南語(びんなんご)で美しい岸を意味する「美岸」(Bí gān)が由来と言われています。
なお街の名の由来には諸説あり、16世紀後半にこの地に辿り着いたスペインのコンキスタドールが、タロイモ科の植物であるビガアに因んで「ビガン」と名付けたとも言われています。
スペインの植民都市として築かれたビガンの街は、スペインの都市計画に基づき、街路は碁盤目状に整備されました。石畳の通りには、スペイン風の外観に、中国やフィリピンの伝統的な建築様式を合わせた家屋が並びます。石と木を組み合わせた家屋はタガログ語で「バハイ・ナ・バト」と呼ばれています。中国やイロカノ、フィリピンの要素が混在しているという点で、スペイン植民地であったラテンアメリカの諸都市とは顕著な違いが見られるのも特徴です。