解説
マテーラ旧市街のうち、17~18世紀に歴史を遡る地区は「ピアノ」と呼ばれています。イタリア語の"piano"は「平坦な、平らな」といった意味があります。
マテーラにあるサッシ(洞窟住居)は、プッリャ州からバジリカータ州にかけて広がる「ムルジェ」と呼ばれる石灰岩台地に位置しています。この地で人々の生活が始まったのは旧石器時代~新石器時代に遡ります。8世紀以降に天然の洞窟を利用した集落が増えていきました。この頃からキリスト教修道士が住み始め、サンタ・マリア・デ・イドリス教会やサンタ・マリア・デッラ・コロンバ教会などの岩窟教会も数多く建設されました。
初期の住居は石灰華層を掘り込んで洞窟とし、掘り出した岩塊で壁を作っていましたが、その後外側に屋根を補強して居住空間を広げることで、地形に適した広い住居の確保を可能にしました。
サッシは北側のバリサーノと南側のカヴェオーソの2つの地区からなります。世界遺産には15世紀のカサルヌオーヴォ地区、17~18世紀の「ピアノ」地区といった旧市街も含まれています。