解説
『サウジアラビアのハーイル地方にある壁画』は、サウジアラビア中北部のハーイル地方のジュッバにある「ジャバル・ウンム・シンマン」と、シュワイミスにある「ジャバル・アル・マンジュールとジャバル・ラアト」という、砂漠地帯に広がる2つの地域で構成されます。この地域に残る壁画には、リードのような線で繋がれた犬の姿が描かれています。当時の人々が狩猟に犬を使っていたと考えられているそうです。
ジュッバのジャバル・ウンム・シンマンの麓にはかつては湖があり、ネフド砂漠南部に暮らす人々や動物たちに新鮮な水を供給してました。アル・マンジュールとラアトは、現在は砂に埋もれたワディ(雨季になると現れる川)に位置しています。
人々は多数の岩絵や碑文を岩の表面に刻んでおり、当時の生活をうかがい知ることができます。特に砂漠化に伴ってラクダが多く描かれるようになるなど、環境の変化とそれに人々が適応していったことが分かる貴重な壁画ですが、バッファー・ゾーンの設定を含む保護上の課題も指摘されています。