解説
17世紀にカナダ東部のアカディア地方に入植したアカディア人(フランス人入植者)は、フランス本土からの供給に頼れず自給自足の生活を送る中で、バルサムモミの木の枝からビールを作りました。バルサムモミは現代では北米を中心に、クリスマスツリーやリースに使われる人気の品種となっています。
カナダの世界遺産『グラン・プレの景観』は、湿地帯と、アカディア人(フランス人入植者)が開拓して作った村落跡からなる文化的景観です。グラン・プレは世界有数の干満差が大きい地域ですが、アカディア人はヨーロッパから干拓技術を持ち込み、堤防や「アボワトー」と呼ばれる排水用の水門を作り、湿地を農地に変えて麦や野菜を栽培しました。また、先住民のミクマク族と物々交換や技術交流を行い、協力関係を築いて地域を開発し定住を進めました。
しかし、イギリスとフランスの植民地戦争の中でアカディア人は追放され、グラン・プレの景観はこの追放の歴史を伝える遺産にもなっています。