解説
宝誌(志公)は、5~6世紀の南北朝時代の僧侶で、予言をするなど人知を超えた力を持っていたとされています。中国では、はさみのほかに、鏡や箒を持たせた宝誌(志公)の像も一般的です。日本でも『宇治拾遺物語』に宝誌(志公)に関する記述があります。
重慶市の北西に位置する『大足石刻(だいそくせっこく)』は、唐代末期の9世紀から南宋時代の13世紀にかけて、山の岩壁に掘られた70ヵ所以上の石刻群の総称です。一帯には、5万体以上の石像と10万点以上の石碑文が現存しています。
多くは大乗仏教の石刻ですが、道教や儒教の像も刻まれており、中国三大宗教の石刻がそろっているのが大きな特徴です。
中でも宝頂山石刻群の石刻は特に評価が高く、大仏湾と呼ばれる崖の磨崖仏群や、全長およそ31mに及ぶ巨大な釈迦涅槃像が有名です。宝誌(志公)の像は石篆山石刻群にあります。