解説
「マドバサ」は、中東で一般的なナツメヤシシロップ(デーツシロップ)を生産するためのナツメヤシの貯蔵室です。このマドバサは紀元前1000年紀ごろのもので、世界最古級のものとされています。デーツは、お菓子や飲料のほか、料理にも使われており、現在でもバーレーンの食文化に欠かせない存在です。
ペルシャ湾に浮かぶ島国バーレーンにある『カルアトル・バーレーン:古代の港とディルムンの都』は、紀元前26世紀頃~前8世紀初頭にバーレーン島を中心に栄えたと考えられている、ディルムン文明の遺跡です。
今日までに発掘されたのは全体の約25%ですが、宮殿群や軍事施設などが発見されており、かつてこの地が港湾都市として栄え、多様な文化が交差していたことがうかがえます。
この地で発見された「マドバサ」は、紀元前1000年紀ごろの人々が、周囲のナツメヤシ林を活用して農業を営んでいた貴重な証拠です。また、その伝統が現在まで続いていることを示す重要な遺構でもあります。