解説
教会や修道院の内壁だけでなく外壁にも描かれたフレスコ画には、キリストの受難と復活といった聖書の物語の他に、オスマン帝国の兵士が農民を襲う様子や火に焼かれるターバン姿の人々など、度重なるオスマン帝国との戦争の姿も描かれています。当時のオスマン帝国に対する人々の恐怖がキリストの受難と重なり合うかのようです。
キリスト教を深く信仰していたモルドヴァ公国のシュテファン大公たちは、イスラム教のオスマン帝国からの攻撃を退ける度に修道院や教会を建造したため、ヴォロネツ修道院=写真=やなど数多くのキリスト教建造物が造られました。外壁にまで美しいフレスコ画が描かれているのは珍しく、ビザンツ美術の宝庫とも呼ばれています。