解説
春日大社に祀られている武甕槌命が、常陸国(現在の茨城県の辺り)の鹿島神宮から白い神鹿に乗って飛んでやってきたという伝説があるため、現在でも奈良の鹿=写真=は神の使いと信じられ、大切に保護されています。また奈良の鹿は『万葉集』を始めとする多くの文書にも登場し、神鹿信仰と共に古くより親しまれてきています。
かつて奈良は『万葉集』に「あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり」と詠まれるほどに栄えました。奈良が都となったのは平城京のわずか74年間だけですが、その間に高い水準の芸術や文化を開花させ、律令国家として古代日本の礎を築くなど、後の日本の文化社会に大きな影響を与えました。