解説
ノルウェー最北の地アルタには、海岸の石面に約5kmにわたって岩絵(ロック・アート)が描かれています。これらは、紀元前4200年~前500年頃に描かれたと考えられていて、主に動物や幾何学文様が描かれていますが、古い時代のものにはトナカイやヘラジカなどを追って狩りをする人や舟に乗って魚を獲る人、新しい時代のものには農耕を行う人や呪術・儀式を執り行う様子なども描かれています。人々の文化の進化の過程も知ることのできる貴重な遺産です。
花こう岩に輪郭線を刻み、顔料で色を施す手法は、スウェーデンの世界遺産『タヌムの岩面画』にも用いられているもので、北欧やロシア北部に同様の技術が広く分布していたことを示しています。