解説
風車はオリエント(特に現在のイランの辺り)に起源をもつと考えられており、12世紀ごろにオリエントから帰還した十字軍によってオランダに伝えられました。当初は製粉用に使われていましたが、やがて排水用に改良され、18世紀半ばには排水用風車が作られ始めました。風車は水害を防ぐだけでなく、湿地帯を農地や牧草地に改良する役割も担っていました。
全盛期の19世紀半ばにはオランダ全土で約1万基の風車がありましたが、蒸気式水揚げポンプや、石油・電気を利用した排水施設が登場すると次々に壊されてしまいました。しかし、第二次世界大戦中に石炭や石油が不足すると風車が見直され、いつでも稼動できる状態で保存されました。世界遺産には19基が登録されています。