解説
天壇は、明の洪武帝が南京に築いたものを、永楽帝が北京遷都の際に故宮の南に造営しなおした中国で最も大きな祭祀施設です。それ以降、明・清代の皇帝が毎年、天地を祀り五穀豊穣を祈願しました。当初は天地を祀る天地壇として造られましたが、故宮の北に地壇、東西に日壇と月壇が造られたため、天壇と呼ばれるようになりました。
天壇には北から祈年殿=写真=、皇穹宇(こきゅうう)、圓丘(えんきゅう)が一直線に配置されています。中心にある祈年殿は、大理石の基壇の上に藍色の瓦をふいた三層の屋根を持つ円形の建造物で、この場所で毎年、五穀豊穣祈願の儀式が行われました。圓丘は大理石を三層に積み重ねた円壇で、ここで毎年冬至の日に皇帝が一年の出来事を天に報告しました。