解説
ムンバイの北東約360kmの断崖にある『アジャンターの石窟寺院群』が作られ始めたのは、紀元前2世紀頃だと考えられています。7世紀頃まで作り続けられていましたが、仏教の衰退とともに8世紀以降は廃墟となっていました。1819年にトラ狩りをしていたイギリス軍指揮官ジョン・スミスが、トラから逃れるために石窟に逃げ込み、偶然この石窟寺院を発見しました。
『アジャンターの石窟寺院群』は、インド最古の仏教壁画が残る石窟です。第1窟に描かれた「蓮華手菩薩像」が奈良の法隆寺金堂に描かれた「勢至菩薩」を連想させるなど、この石窟に描かれた仏教美術が中国や中央アジア、日本にまで大きな影響を与えたと考えられています。