解説
北海道東部に突き出た知床半島は、オホーツク海に面した北側のウトロと太平洋に面した南側の羅臼とに分かれています。気候が穏やかなイタリアのフィレンツェなどとほぼ同緯度にありますが、冬でも氷点下になることのないフィレンツェとは異なり、知床半島沿岸では1月下旬になるとオホーツク海から流氷が接岸し、一面が氷に覆われます。この海域は、地球上最も低緯度で海水が凍る季節海氷域です。
知床は、アイヌ語で「地の果て」を意味する「シリエトク(sir etok)」が名前の由来となっています。またシリエトクは、「地の突き出た場所」という意味もあります。知床半島の先端部分には今も道路がありませんが、小さな岬や川、岩にまでアイヌ語の名前がついており、アイヌの人々が小船で行き来をした生活の場であったことを示しています。