解説
『万里の長城』は、中国東部から西部までの約3,000kmに残る遺跡です。中国の東北部にあるモンゴル高原で活躍した遊牧民族の「匈奴」が攻め込んでくるのを防ぐために作られました。名前は、司馬遷が歴史書の『史記』に「万余里」と記したことに由来します。当時の「万里」を現在の距離に置き換えると約4,000kmです。長城の総延長は約8.900kmで、明以前に作られた土塁などの長城の遺構も含めると、数万kmに達するという説もあります。
万里の長城は、春秋時代の紀元前8~前5世紀頃に作られはじめました。作られはじめた頃は、土を盛り上げただけの簡単なつくりでした。全土を統一した秦の始皇帝は、土や日干しレンガなどを使ってそうした砦をつなぎ合わせ、現在の長城の原型を作りました。
その後に続く王朝によって改修や増築が繰り返され、焼成レンガを用いた現在の形になったのは16世紀の明王朝の後期です。その次の清王朝は北方民族の王朝であったため、長城は使われなくなりました。