解説
世界には、産業革命を最初になし遂げた英国を中心に、多くの産業遺産があります。そのひとつが英国中部にある『アイアンブリッジ峡谷』です。
この地のコールブルックデールで、1709年にエイブラハム・ダービー1世が石炭コークス(石炭を蒸し焼きにした燃料)を使って鉄鉱石を溶かす画期的な製鉄法を開発しました。これにより質のよい銑鉄(鉄鉱石から取り出した鉄)を大量に生産できるようになり、18世紀後半から19世紀のイギリスの産業革命の時代には、街は製鉄業の中心地として繁栄しました。
アイアンブリッジ峡谷には、歴史的な溶鉱炉(鉄を溶かす炉)や鋳造工場(高温の鉄を型に流し込み成型する工場)などが残されています。中でも有名なのが、峡谷の名前にもなっているアイアンブリッジ(コールブルックデール橋)=写真=です。世界で最初に作られたシングル・アーチの鉄橋です。この峡谷は、もともとはセヴァーン峡谷と呼ばれていましたが、アイアンブリッジ峡谷と呼ばれるようになりました。