解説
ルール工業地帯の中心都市であるドイツ西部のエッセンに、ツォルフェライン炭鉱業遺産群があります。ルール川下流に広がるルール地方は、石炭の採掘や製鉄業などの重工業で発展し、長い間ドイツの産業を支えました。ツォルフェラインは、19世紀半ばにできたドイツ関税同盟(ツォルフェライン)の炭鉱の跡地で、関税同盟の名の下にこの一帯の炭鉱群が集まり、ドイツ最大の産出量を誇りました。
1934年に建設された第12採掘坑=写真=は、デザインにも最高のものを目指し、当時とても影響力のあったバウハウスのデザインが採用されました。バウハウスとはドイツのヴァイマールにあった美術や芸術のための学校で、ここも世界遺産に登録されています。
この炭鉱は、燃料の主流が石炭から石油にかわったことで衰退し、1986年に操業を停止しました。その後は産業遺産として整備され、周囲の国の産業遺産と共に「ヨーロッパ産業遺産の道」としても守られています。また第12採掘坑はデザインセンターとしても使われています。