解説
ドイツ中部のアイゼナハ郊外にたつヴァルトブルク城は、11世紀半ばにつくられたロマネスク様式の城です。森の中にあるこの城は、岩山の上からはるか下のアイゼナハの街を見下ろすようにたっています。一時期、廃墟になっていましたが、フランスのナポレオンとの戦争の後に再建され、城壁なども修復されました。現在見られる城館は19世紀のものですが、城内には12世紀の建物も残されています。また、ルターはここで聖書のドイツ語訳を完成させました。
この城は中世のタンホイザーの伝承で、歌合戦が行われていた城として有名です。12世紀のテューリンゲン方伯ヘルマン1世の時代に、城の大広間で歌合戦が行われていました。詩や歌をつくって各地を回りながら演奏する吟遊詩人や騎士たちが、出されたテーマに従って順番に歌い勝敗をつけるもので、負けた方は命を落とすという厳しいものでした。ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーは、この伝説をもとにオペラ『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』を書きました。