解説
インド北西部のラジャスタン州に『ラジャスタンの丘陵城塞群』はあります。「ラジャスタン」とは「ラージプート族の地」という意味です。ラージプート族は、8~18世紀頃にこの地に王朝を築き栄えました。そのひとつメーワール王国が9世紀に首都としたのがチットルガルです。
丘の上に立つチットルガル城塞(写真)には、悲しい物語が残されています。メーワール王国のスルタン(王)には、美しい王妃パドミニがいました。ある時、強大な隣国のスルタンのアラー・ウッディーンがパドミニの噂を聞きつけ、彼女を奪い去ろうとチットルガルを攻めました。なかなか攻め落とせないアラー・ウッディーンは、ひと目パドミニを見させてくれたら兵を引き上げると伝え、遠くから水面に映ったパドミニの姿を見ます。しかし、水面に映る美しい姿に心を奪われ、大軍勢で城を攻め落としてしまいました。パドミニは悲しみのあまり火の中に身を投げて命を絶ちました。悲劇の王妃パドミニの宮殿は今でもチットルガル城塞に残されています。